寒暖差と山から吹き下ろす風が美味しいお米を育てます
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施肥と防除

中干し

中期除草剤

田植えしたら初期除草剤を散布しますが、1回だけでは圃場の難防雑草を防げません。もちろん、昨年の秋の耕起時にも除草剤を撒いた上での話です。それほど圃場の難防雑草は生命力が強く、しつこいのです。こうなると初期除草剤と中期除草剤の使い方が問われてきます。最近は毎年の様に新薬が開発されるようになり、雑草駆除に心強いですが、初中期を体系的に使用することを農協も進めています。

中期除草剤の散布時期

初期除草剤を撒いてから2週間から20日の間に2回目の中期除草剤を散布します。初期除草剤の効力はそれはそれで1か月はありますが、1か月後では遅すぎて雑草が復活してしまいますので、それまでの所で2回目の中期除草剤をまくのです。除草剤は色々なものが出回っていますので、自分の圃場の雑草の種類に合わせて選ぶことになります。ほとんどが1K/反粒剤なので、粒剤を動噴で散布します。

除草剤散布後の圃場の管理

除草剤散布後は1週間止水した後に入水し、”中干し”を行います。期間は2週間程度で、圃場に軽くヒビが入る程度まで行いますが、これはとても大事な作業で、稲にとっても大きな変化をする時期になります。稲の根が水根から畑根に変わっていくのです。畑根になると曲がりくねった細いひげ根がたくさんできてきます。このひげ根が台風で倒れるのを抑えてくれる基礎(建物で言うと)にもなります。

中干しの重要性

水を灌水状態のままぎりぎりで落水して刈り取る方法も紹介されていますが、実際に作っていて、数回の軽い中干しは必要だと思っています。一株当たり20本になったら、中干しで肥料分であるチッソの吸収を抑え、過剰分けつを抑制することが良食味米を作る段取りの一つになります。

水根から畑根への転換

第一に田植え直後のガス湧きの対策が挙げられます。代掻き後20~30日で、土中に稲に有害なメタンガスや硫化水素ガスが溜まるため、中干しして田面に軽くヒビ割れを作って、ガスを抜きつつ替わりに酸素を供給することで発根促進を図ることです。ここで重要なのは、水根のままだと窒素成分中心の養分吸収になり、良食味米に必須の微量元素が吸収されにくくなるという事実です。食味を向上させるためには、マグネシウムやカルシウム、リン酸といった微量元素を吸収できる細かな根(畑根)になっていることが不可欠なのです。

刈り取りに向けての圃場固め

加えて秋の刈り取りまでに田面を固めてやることも必要になってきます。特に倒れやすいコシヒカリはこの”中干し”作業は必須です。灌水状態だと育ち過ぎて背が高くなり倒伏しやすくなるのです。確かに灌水状態を続けると稲は育ちますが、米の品質を下げる倒伏を避け、秋にコンバインで刈り取ることが出来なければ絵に描いた餅になりかねません。刈り取り後の秋の耕起作業のことも考えると、浅く掘り起こす作業を容易にするために田面を固めておくことは大事です。

稲作りは奥が深い

実際に現場でやってみて、一定品質を保つ作り方をすることが最良だと考えていますが、毎年気候の変化に翻弄されっぱなしで、一定品質を維持していくのは至難の業です。けれども、天気予報を読み、予測して計画を立て、または臨機応変に対処して乗り切った時には思わず体中を快感が走る思いを得られます。これがたまらず面白いのです。私などはすっかりはまってしまった一人です。大汗かいて、きつい思いをして、僅かな儲けのために体力の限りを尽くして頑張ることが楽しいのです。1年間かけて作業した後でないと結果がわかりません。過去の経験と情報を得ながら、知恵を絞って自然と対戦するような感覚です。

やればやる程美味を追求したくなる

やった分だけ結果がついてくるのも確かで、毎年が研究生のようなものです。どんどん美味しくなってくると楽しくてしょうがない。「うまい!」の一言が嬉しくて頑張っている現在の私です。

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