寒暖差と山から吹き下ろす風が美味しいお米を育てます
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稲作アラカルト

異常気象でお米の質が不安視される

きぬむすめ春先の高温の影響

今年は春先から天気が良く、肌寒さもあまり感じないほどの穏やかな毎日が続いていました。例年ですとジャンパーを着て寒風に耐えながらの作業のはずが、今年に限っては好天続きでとても気持ちのいいトラック作業でした。風も心地よく感じられとても気持ちが良かったのを覚えています。

水温も高めで、4月中旬からの浸種作業では水温の上昇を抑えられなかったのが後々響きましたね。適温は11℃~14℃なのですが今年は平均が16.5℃になってしまいました。種蒔き後にハウスに移動し、1週間様子をみましたが成長が悪くとても心配しました。種蒔きから22日後の植付時期になっても苗の高さが低くて植付では植付スピードをいつもよりゆっくりで2株取りを3~4株取りにして苗の活着に備えました。

元肥の窒素

いつもだと元肥には窒素分を入れずに散布するのですが、苗の力が弱いと見たのであえて5k/反の窒素を追加して初期の成長を後押ししました。その気遣いが功を奏したようで順調に生育してくれました。

稲が欲しがる時の施肥(分けつ肥)

植付から逆算して出穂40日前頃に分けつ用に追肥を行います。これで分けつを促すわけです。株が増えて行っていい頃合いに中干し作業をします。

中干しの重要性

中干しすることで余分な分けつを抑え、適度の株数を確保し、稲の根を畑根といってより細くて長い根にしてやります。こうすることで稲が微量元素を摂りやすくする環境を作ってやります。ただ中干しをすればいいというわけではなく、そこに天候や圃場の地力も関係してきますし、圃場内の雑草の存在も見逃せません。雑草は肥料泥棒なのですから。泥棒どころか抑えが効かなくなると稲の分けつさえも邪魔をするのです。したがって植えつけてから出穂するまで、更には刈り取りまでは気を抜けません。絶えず稲の様子を見ながら草刈りや、水管理、圃場内の雑草抜きなど非常に手間ひまかかりますが、思い通りに行った時のお米は確かに美味しいのです。

お米作りは細かい仕事の積み重ね

お米作りは細かな作業の積み重ねがものをいいいます。農業に限らずなんでもそうですが、職人と言われるプロは手抜きをしません。会社で言えば中小企業になるわけですが、小さくて小回りが利くからこそいいものが出きるのだと思っています。ですから日本の伝統あるお米作りは小規模農家ならではの一級品で、大規模にやるとおおざっぱにならざるを得ません。要するに細かな作業が追い付かないのです。したがって、アメリカの美味しいと言われるカリフォルニア米を私は食したことがないのですが、日本の小規模農家のお米は世界一と思っています。

異常気象でも良質米を作る

今年のように梅雨が戻ったり、暑いけど日照不足で光合成が出来ていない時はお米の味が劣ります。私の場合は玄米アミノ酸酵素液を稀釈して葉に散布しています。光合成が上手くいくと実りも大いに期待できます。

きぬきすめの特徴

「きぬむすめ」の特長は炊きあがりに艶があり、とても綺麗な白いご飯が出来る所にあります。 食べてみるとほのかな甘みがあり、適度な粘りもあり冷めてもそれが持続するという品種特性があります。総じて食味はコシヒカリと同等か、栽培地域によっては上回るほどの出来が期待できます。

植付けが5月下旬~6月上旬、出穂はお盆頃、刈り取りは9月下旬から10月上旬の中生品種でコシヒカリよりも長い期間手がかかりますが、コシヒカリより低くて幹が太く、倒伏しにくいので育てやすい品種です。

私は県から仕事を頂いて採種用のキヌムスメ原種を作っていますが、毎年少しずつですが、需要が伸びているようです。

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