田んぼに田植え機で田植えをしてから暫くすると、植えつけた苗から新根が発根して、それらが伸び始めることを活着といいます。移植後、苗を抜いてみると、苗床に出ていた根より少し上部から、白い根が横張理に数本出てきています。田植え時に苗についている根は切断と根洗いのために伸長は止まり、若干の若いものでは分岐根が出ます。根帯の太い苗は活着が良く生育もいいです。
いい米を作ろうと思えば、種まきからすでに始まっていて、いかにして太い苗を作るかです。そして、芽出しをしてから田植えまでどこで生育させるかによっても違います。活着に最も影響するのが温度で、高温のハウス等で暖かいまま育った苗は活着限界温度が高く、路地などの寒暖差のある厳しい条件下で生育した苗は活着限界温度が低いのです。
何を意味するのか。田植えしてかの外気温度が高ければハウスで生育した苗は活着するが、低温だと活着がわるい。その点、路地栽培は低温でも活着するし高温ならなおさら活着しやすくなります。路地栽培の方が苗が強くなり、悪条件下でも十分に活着することが知られているのです。ですから手間暇かかるのですが、芽出しした苗を路地でシートをかぶせて温度管理をこまめにやってやれば(その分手がかかる)丈夫な苗ができるのです。丈夫であれば病気にもハウス栽培よりは強いといえます。
田植えは5月連休あたりにするところが多いのですが、昼暖かくて、夜は寒いので、早めに植えつけるのならば路地栽培をしないとならないのです。しかし、現状では、兼業農家が多く、そこまで温度管理をこまめにできないのでより温度管理の楽なハウス栽培でするところが圧倒的に多いです。病気に強く、自然環境にも順応できる苗を作ってやることの大切さがわかります。
それから、深植えすると浅植えよりも活着が悪く、植えてからの水深ですが、水深が深いほど活着が悪いのです。大きく育った苗で水深を3cm程度にしてやればいいわけです。しかし、あまり大きく育った苗は田植え機には不向きです。ほどほどが大事なのです。とにかく米作りは簡単なようで奥が深いです。セオリーにのっとって、環境にも臨機応変に対応した時素晴らしく美味しいお米ができるのですからやりがいがあります。