寒暖差と山から吹き下ろす風が美味しいお米を育てます
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種蒔きと育苗

良いお米は種蒔きから

種籾の浸種

今年もいよいよ米作りが始まりました。毎年3月中旬頃、種籾が農協を通して県から配達されてきます。私は県下の農家さんが作るお米の種を作っていて、厳しい品質管理のもと稲作りをしています。

まずは水に漬けこむ浸種という作業から始まります。毎日朝夕の水温の管理を行いその種籾の発芽に最適な積算温度まで漬け込んでいく大事な作業になります。

昨年は暖冬傾向にあって水温が高く平均水温が14℃でしたが、今年は12℃でした。キヌムスメの積算温度は70~80℃なので6日から7日の間で時間を微調整してから丘上げすることになります。

一方コシヒカリの方は積算温度が100℃です。しかし丁度100℃で丘上げするというわけにはいきません。種籾の中でもコシヒカリは発芽しにくい部類に分けられるので110℃~120℃になるまで待ってから丘上げします。

タイミングとしては芽が今にも出始めるほど種籾が膨らんだ時がその時です。丘上げした種籾はむしろの上に広げて陰干し乾燥させます。

種蒔き

丸一日ほど自然乾燥させてから種撒き機で種を撒いて行くのですが、数日前に苗箱に苗床の泥を入れて準備をしておきます。

当日は種撒き機が水を撒きながら種を撒きその上から泥をかぶせてくれます。全て流れ作業でやってくれるので、追加の泥を補充したり種籾を追加したり、完成した苗箱を近くに重ねておくのがこちらの仕事になります。

育苗器

種蒔きが終わると今度は育苗器にセットしていきます。苗箱を20~30段重ねにして入れていきます。後はスイッチオンするだけですが、私の使っている育苗器は啓文社製の蒸気式で30℃で約60時間が目安です。

ところが60時間を待たずに芽が出ることがあるのです。それは去年のことですが、水温が高めだった(14℃)時はわずか34時間後にもう芽が伸び始めていて、放って置くと芽が上の苗箱の小さな水抜き穴に入って更に伸びて大変なことになるところだったのです。常に観察を怠らなかったことで難を避けられたわけですが、実はこの時の稚苗はハウス内で育ちが悪かったのです。育苗器で芽が出たらハウスに移動させてハウス内で水やりをしながら育てていくのですが田植えまでになかなか伸びず、ついには小さいまま田植えをした苦い経験があります。結果的には種籾は合格を貰い事なきを得たのですが、稲にとっては苦しい年だったのではと稲を思いやりながら稲の成長力に感謝し、自分自身大いに反省した年でした。

ひるがえって今年はといいますと水温12℃で漬け込み時間も長めでした。発芽時間は64時間でスイッチオフとなり、緑化を経てハウスへ設置しました。設置後2日目から稚苗の精が良く、グングン育ってくれています。改めて水温のわずかの差が種籾に及ぼすストレスを思わずにはいられませんでした。

ハウスで育苗

ハウス内に苗箱を移動して並べ、室温を調整しながら育苗していきます。昼と朝晩の温度差はかなりありますので弱い稚苗には耐えられません。昼の間はハウスのビニールシートを巻き上げて風通しを良くしてやり、夕方からはシートを下ろして保温に努めます。毎朝出勤前に水をやるのが日課になりますが日を追うごとに苗が少しずつ大きく育っていくのが良く分かります。水のやり過ぎは稚苗の成長にマイナスなので朝の一回にしっかりと散水します

田植えまでの日数は種まきから20~25日がベストです。それ以上になると田植え後の苗の成長が良くありません。苗も生きているのです。苗が喜んで育つようにフォローしてやるのが大事なのです。

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