寒暖差と山から吹き下ろす風が美味しいお米を育てます
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刈り取りと乾燥

稲作り 時機を逸した刈り取り

今年ほど雨の多い9月はかつて経験がありませんが、今年の8月は雨がほとんど降らずじまいで好天続きでした。早場米にとっては願ってもない条件だったのです。ですから”コシヒカリ”は豊作でした。ただし、刈り取りを9月4日(日曜日)までにできた農家での話です。

平野部と中山間地域と比べるとどうしても中山間地域の方が遅れます。平野部では8月下旬には刈り取りが終わっていたようです。雨もなく強風もなく、毎日晴天続きだったのですから、倒れる心配がなくきれいな”コシヒカリ”が収穫できたのです。ところが中山間地域では ”コシヒカリ”の刈り取りは9月上旬頃です。兼業農家にとっては9月4日か、次の日曜日の11日が刈り取り予定日となっていました。しかし、台風がやって来て大雨をもたらしたので、先延ばしにした農家がほとんどだったのです。「次の週は晴れるだろう」と高をくくっていたのに雨が降り続け、その上台風も連続で上陸してきたので再度延期です。

それがいまだに続いているのですから異常としか言いようがありません。この地方ではいまだに”コシヒカリ”を刈り取っていない農家があります。乗り遅れてしまうにしてもここまでとは誰が想像したでしょうか。まさに青天の霹靂です。「晴れた日を狙って刈り取ればいいのでは」とおっしゃる方もいるかもしれませんが、急に晴れても田んぼは雨のせいでぬかるんでいて柔らかくなっています。重量のあるコンバインが田んぼに入れば、はまってしまって動かなくなるのです。だから刈り取れないのです。もう災害ものです。

数年前、これと同じような条件の元、刈り取りを急がないとならない兼業農家の方が、無理やりコンバインを田んぼに入れて刈り取りをしたことがありました。案の定はまってしまって身動きがつかなくなり、挙句の果てには大型レッカーで引き上げてもらったそうです。その費用なんと50万円なり。それだけで1年の苦労が台無しです。

稲作りの中で、とても重要なのが水管理です。田植え時は歩いていてもはまって足が抜けないほど柔らかで粘りがありますが、稲が成長して行くにしたがって「間断灌水」しながら田面を固めていくのです。そこに大雨が続けば硬くなっていた田面も再度柔らかくなってしまうのです。自然の力にはなす術もありませんが、「こんな異常気象に誰がしたんだ!」とぼやきたくなるのは私だけではありますまい。

それでも品種改良によって遅くに刈り取れて、なおかつ美味しいお米を作る努力をしているのです。早場米、そして10月に刈り取るお米もあり、米の品種は数多く存在します。その年の気象条件で豊作の品種、不具合の多かった品種が別れるのも事実です。一般消費者はお米屋さんがブレンドするお米を買い求められますが、お米屋さんも商売です。上手にブレンドして市場に流すのです。本当に美味しいお米をわかっているのは苗から育てて刈り取るまで面倒を見る農家の方です。

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