毎日の様に雨が降っていると、「今年の梅雨明けはいつごろになるのかなぁ」と気になります。昨年のデータを見てみると中国地方では7月24日でした。気象庁の予想では今年は21日になっています。丁度こちらでは小・中学校の夏休みの始まりと同じ日です。
私の子供の頃は、7月中旬にはもう真夏日でセミがうるさく鳴き、夏休みに入る前から蝉取りや、カブト虫を取った記憶があります。日中は上がっても30℃位、朝晩は涼しかったなぁ。最近では夏といえば熱帯夜で、おまけに蚊がうるさくて寝られません😭。昼は異常なほどの高温で、熱中症と戦いながらの作業です。夏はたまりません。自然界のブレーキが効かなくなったのか狂ったのかどちらかでしょうけど。
もともと稲は熱帯植物ですから、夏は歓迎と行きたい所ですが、限度知らずの異常気象には稲も病気になってしまいます。「日照りに不作なし」と言われるほど、日照が多いか少ないかでコメの作柄が左右されるのですが、日照りであっても気温が高くなり過ぎると、期待したほど収穫が上がらず、かえって品質は著しく低下するのです。
高温になると、吸水が蒸散(葉の裏側にある気孔が開閉して大気中へ水蒸気が放出される現象)に追いつかずに、しおれて枯れる場合があります。では蒸散を防ぐために葉の気孔が閉じればどうなるのでしょうか。気孔が閉じると光合成も止まり、生育が止まって根が弱って倒伏しやすくなり、やがて枯れてしまいます。水稲では特に根の給水速度と光合成速度とは密接な関係にあり、日射量が多く蒸散の盛んな日中に大きい光合成速度を維持するには根の発達、根の給水能力の高いことが必要になるのです。したがって、種まきから芽が出てきて、田植えをするまでの苗の成長が大事になってきます。この時いかに丈夫で根の張った苗を作るかが、その年の米の出来具合に大きく影響します。
また、夜間の高温は稲の呼吸作用を増加させます。夜に活発に活動するとどうなるのでしょうか。日中に生産した栄養分のデンプンが消費されてしまい、穂や根に送り込む量が少なくなって登熟歩合が低下し、乳白米(白未熟粒)発生の原因となってしまうのです。
このように、人間が熱帯夜で睡眠不足になると体力を消耗するのと同様に、米も暑さにやられると品質が低下します。少しでも風通しを良くし、徹底した水管理をすることが良い米を作る上で大事になってきます。簡単ではないですが、それだけに非常に作りがいがあり、研究のし甲斐があるのが稲作なのです。