畦畔のイネ科雑草の穂は、カメムシにとって、例えれば跳び箱の踏切版の役目をしているのです。カメムシは御存じの方もいらっしゃると思いますが、あの臭い虫です。この踏切版がなければ水田の中に飛び込みにくくなります。そうなればカメムシによってもたらされる斑点米を軽減させることが出来ます。稲の出穂期前後にこの踏切版をなくすことが大事になってきます。特にイネ科雑草は夏の暑い時期には一度刈り払い機で草刈りをしても3週間程度で再出穂が始まるのです。1か月持たないわけですから雑草の繁殖力の凄さがわかっていただけると思います。
出穂期(しゅっすいき)とは、穂を形成する作物において、4〜5割の穂が出穂した時期のことをいい、田植えをしてから早い品種で50日、遅いものでは80日後ごろになります。この時期に雨が降り晴天が少ないと受粉が進まず、米の収獲量に影響が出るのです。私の所では田植え期が6月4日でしたから、出穂期は8月15日丁度お盆の頃だと思います。
ですからその前後3週間の大事な時期に、虫が寄ってくる雑草を刈り取った状態に持って行きたいわけです。出穂期3週間前7月24日頃から第2回目の草刈りを始め、3回目は8月15日頃から刈り始める予定です。実際には稲刈り後にも草刈りをしますので計4回になります。この稲刈り後の草刈りを怠っていると、伸びた雑草が冬に枯れて、春からの草刈りに恐ろしく邪魔になるのです。さらに秋に伸びた雑草は小さいながらも種子を持って、畦畔や水田に種を落とすので、厄介です。
稲作りにおいて、草刈りがいかに重要であるかお解りいただけたかと思いますが、重要であって重労働です。特に中山間地域における圃場整備では高低差があるため、法面の傾斜、広さが半端なく、平野部とは比べ物にならないほど管理が大変なのです。しかし、寒暖の差が大きいので必然的にお米の味は良くなります。
今日、全部の圃場の刈った草(枯草)を運び終えました。運搬車で20杯分。よくもまあ伸びたことです。ここ3か月ほどの間なのですが、雑草の生命力には驚くばかりです。