春の水温が高めだと後々影響が残る
今年は春先から雨も少なく好天が続いたため、種籾の浸種時の水温が高めでした。水稲においては浸種時の適温は11℃~15℃と決まっていて、この温度帯を外れると育苗時の苗の成長が悪いため、田植えでは小さな苗を植えることになるのです。圃場に植えつけた後も、思うように分けつしなかったり成長が鈍かったりの影響が現れます。実際には17℃平均でしたので、ハウス内での育苗で思うように伸びず、小さい苗の田植えで欠株が増え、分けつ時に勢いが削がれた感じを見受けました。
その対策として取った行動
私はコシヒカリと種籾用キヌムスメ、流通米きぬむすめを作付けしていますが、例えばきぬむすめを例にとれば、普段は植付時には無窒素で行くのですが、今年は5k/反の窒素を田植え時に散布しました。きぬむすめという品種はもともと肥料食いの傾向にあるので、後の追肥も気象条件を考慮しながら散布していきます。
また、今年は水口周辺に少し多めに追肥を施して山水の冷水の影響を抑える工夫もしました。
一方のコシヒカリは浸種時の水温が11℃~14℃と安定していましたので、出穂予定から40日前には順調に分けつも進み、分けつ肥を撒くことでしっかり分けつしてくれました。後は稲の状態を見ながら2度の追肥を散布して8月の好天高温の日々を待つだけです。
異常気象ともいえる戻り梅雨
今年ほど水温、空模様に悩まされた年も珍しいですね。何年作り続けていても毎年が一年生の心境です。自然相手ですから臨機応変に対応することがとても大切です。指針にしている天気予報もわずか半日単位で変わる目まぐるしさでかなり考えさせられました。
特に降雨が心配で、線状降水帯の出現でピンポイントに激しく降るので水路の安全確保に神経を使いました。土砂災害になる前に、降ったその都度水路内の土砂上げを行い、ため池からの水を遮断したり開いたりして水の確保に勤めましたね。今年はもうこれで5回目でしょうか。山からの湧き水を利用するのでこちらも大事な作業の一つです。
圃場の状態で除草剤の散布計画を
畦畔の草刈りを行いながら圃場内の雑草をチェックするのも忘れてはなりません。分けつも進んでくる頃に一発剤や初期除草剤の効果がきれてきて、ノビエやクログワイ、イボクサ、コナギ等が現れ始めたら中後期除草剤の散布時期です。放置は厳禁、減収の憂き目にあいますからタイミングを失わないように散布が必要です。
圃場の丁寧な管理の大切さ
除草も一年を通して手入れをするから効果があるわけで、もっと言えば数年かけて手入れをして、そして代掻きを丁寧におこなうことでかなりの除草が出来ますので、何事も一朝一夕にはできないと理解する事が必要です。
一年でも作付けを怠ると元に戻るという事をいやをという程味わったのが去年の稲作りでした。もっともこれは隣人から一年間管理圃場した圃場の作付けを全面的にお願いされたことで、知らない圃場を預かる事の大変さを経験してわかったことです。