圃場の雑草
稲作りをする上で、圃場内の雑草ほど厄介なものはありません。稲への栄養を横取りし、病害虫の住処として稲に多大な害を及ぼす存在だからです。畦際の雑草も然りですが、圃場の中の雑草は全て手抜き等により抜いてやることが必要なため多大な労力を要します。
だからといって除草剤を使うことはできません。無農薬で作ることはとても大変なことなのです。アスファルトのわずかな隙間からでも這い上がって来て成長する雑草の生命力はあなどれません。
それに除草剤はイネには無害ではなく少なからずとも影響があるのです。しつこい雑草を抑えるほどに稲の成長にも影響があり、枯れることはありませんが成長が抑制されるのです。稲にかなりのストレスがかかると私は見ています。
除草機の性能
私が使っている除草機が3条の縦回転による除草です。生えてきた雑草を土中に埋め込んでくれて合わせて耕すので便利なのですが、縦方向の稲と稲の間の雑草には除草機の爪が当たらないのでそのままです。放置しておくと雑草が成長し、稲への栄養を横取りしてしまいますので手抜き作業が必要となります。
最近の除草機は、縦方向の稲と稲の間の雑草も除去できる優れものも出回っているようですが、かなり値が張りますし、使い勝手があるようです。手抜きに勝るものはないので時間と労力を掛けて手抜きします。スピードは一日/反ですね。簡単にはいかないのですが、しっかり抜いておいてから一回目の追肥を行うと肥料の栄養が無駄なく稲に吸収されるのです。
肥料の横取りの親分はコナギ
雑草の中でも稲の成長を阻害し、栄養を横取りして成長する筆頭はコナギです。コナギは7月に入ってくると頭角を現しあっという間に成長します。稲への追肥時期に合わせているかの如く出現する厄介な雑草なのです。コナギが大繁殖した圃場の稲は小さく成長が止まってしまいます。こうなると手遅れで手抜き作業に膨大な時間と労力がかかり、腰を痛めてしまいます。
除草機を掛けるタイミング
そうならないように雑草が生えてこない時から除草機を掛けてやることが大事です。田植え後10日目に一回目、その後は一週間ごとにかけてやると雑草の成長をかなり遅らせることができます。
雑草を抑える地力窒素
雑草を抑えるには除草機だけではなく、田植え時の圃場の状態にも注意が必要です。田植え時に地力窒素が多いと稲が勝ち、少ないと雑草が勝って生えてくるという現象が起きます。したがって前年の刈り取り後の施肥による地力向上がポイントになってきます。
稲刈り後の秋耕において、翌年の圃場のガス湧きを抑えるためにも、コンバイン後の稲わら腐熟を考慮した施肥が重要になってくるのです。
石灰窒素
農家に使われ続けて100年になる有用な化学肥料があります。それが石灰窒素。名前を聞いた方も多いかと思いますが、石灰窒素は農薬と肥料の2通りを併せ持つ便利な資材です。土にまぜた石灰窒素は農薬として働いた後に窒素肥料に生まれ変わります。しかも有機態窒素となり、地力窒素として徐々に肥効を示すようになります。近年、総務省からの通達で、石灰窒素を有機物の腐熟促進にみの目的で使用した時は、石灰窒素を化学肥料の使用量にカウントしなくてよいことになりました。農家にとって大きな流れです。薬効により病害虫雑草を防除した後10日ぐらいで薬効成分は完全に消滅するので安心安全です。
絶えず研究していく姿勢が良質米を生み出す
いくら良い資材を使用しても完全な除草はありえないです。雑草を限りなく抑え、共存しながら稲を育てていく考えに立って絶えず研究努力していくことがとても大事です。取り切れない雑草を機械あるいは手抜きで処理する努力を惜しんではいけません。なぜなら雑草の耐性のパワーはすさまじいからです。便利な除草剤があっても数年で耐性ができて効かなくなることが常で、薬品会社も絶えず研究して新除草剤を開発している事実がそれを物語っています。
これでいいという事はなく、変化に応じて共に進む覚悟が必要です。稲を育てるには外敵を払いながら栄養を与えるきめ細かな心配りが欠かせません。作りての努力の度合いが良質米の良し悪しを決めます。きついのですが、安全で美味しい新米を口にしたくて今日も頑張る私です。