田植前後の圃場管理
今年も田んぼが始まりました。うちでは田植えは5月19日に済ませ、ずっと深水にして雑草を抑えています。その間に畦の草刈りをして雑草を集め、寄せる作業に汗をかきます。
田植え前に畦際の草刈り、田植え後に周辺の草刈りをして枯らし、寄せ集めて秋の肥料の一部としているのです。集めて燃やす方が手っ取り早いのですが、山火事の心配もあり、また、雑草の枯草菌が田んぼに非常に有用なのでこの作業を外せません。
田植後の苗の状態
親父の頃は密植でしたが、私に変わってからは完全な疎植を敢行しているので、田植え直後は、代掻き後の圃場かと思わせる程寂しい圃場です。おまけに苗も小さ目なので苗が見え隠れして、溺れた苗が助けを求めているかの様な状態です。
初期除草剤の散布
私は初期除草剤を撒きません。初期除草剤をまいた苗は育ちが良くないことをわかっているからです。雑草が生えるのは田植えからの積算温度が200℃を超えた時。気象条件にもよりますが、おおよそ10日過ぎたあたりから雑草が出始めます。初期除草剤と中期除草剤を連用して除草することを推奨していますが、いくら苗には無害といっても、他の雑草を抑えるわけですから、苗にもその影響があるのです。実際にやってみると、苗の育ちに大きく差が出るのが判ります。
中期除草剤の撒き方
中期除草剤は、雑草がある程度育っていても効果があります。育ちかけた雑草をよく枯らしてくれるので安心して使えるのです。田植えから丁度2週間後に散布し、その後1週間もすれば効果が目に見えてわかります。薬剤が田面を覆うように泥の上に幕を張るので、雑草に効くのです。この頃の苗は活着も終わり、多少分けつして根を張っているので薬剤の影響をさほど受けないようです。育ちかけの雑草にはよく効き、活着して根を張り始めた苗には影響がでないように除草剤を使うことが、異常気象にも耐える強い稲を作る上で大事なポイントになってきます。
中期除草剤を効率よく効かせるための前作業
田植え前から雑草が育たないように圃場を管理することが出来れば、除草剤を使わないで済むのですが、そこが大変なところで、専業でやっていないと無理が生じて来るのです。冬の間中圃場に水を張って置く方法もありますが、できない所は秋の耕起から手を尽くす必要があります。
刈り取ったのちすぐに耕起してから、稲わら腐熟を促す肥料を散布し、再度深めに耕起して腐熟を進めます。稲わらをしっかり腐熟させ、併せてイモチ菌、モンガレ菌も殺菌し、害虫の卵や雑草の根、地下茎、種も分解しておくことが重要です。春の田植えまでに、稲の生育を妨げる要因をできるだけ少なくすることが大事になってきます。
最近問題化している、雑草稲、漏生稲は手取りで
有効資材散布後の秋の早めの耕起と、田植え前の丁寧な作業でかなり減ることは間違いありません。最近問題化している雑草稲、漏生稲も減少するようになりますが、少なからず発生するのであって、無くなることはありません。ですから早めの段階で手で抜き取ることが必要です。この抜き取り作業を田植え3週間後にすることで、出始めた雑草稲を除去できます。
有機栽培では除草機を使って後発の雑草を埋め込む
有機栽培においては、除草剤は一切使用できませんので、適材適所に許された資材を時期を考慮して施すことになります。また除草機を使って除草することも重要な作業の一つです。雑草稲を抜き取った後に除草機を掛けて雑草を泥の中に埋め込んでしまいます。と同時に根の発育を促すことにもなりますので、より丈夫で健全な稲に育っていきます。有機栽培においては除草機は欠かせないアイテムです。