寒暖差と山から吹き下ろす風が美味しいお米を育てます
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稲作アラカルト

これからの農業

昨年の稲作り

昨年を振り返ってみると、いろんなアクシデントはあったにしても結果的には1等米であったことに満足しています。これが収入に直結しているのですが、農協の買取価格では生活していけません。高付加価値を付けていかないと生き残っていけない時代になりました。今、改めて有機肥料が見直されています。毎日食べるお米です。安心・安全で健康を考えたお米作りが求められています。

肥料の種類

肥料は大きく分けると「有機肥料」と「化学肥料」の二つに分けられます。有機肥料とは、牛糞、鶏糞をはじめ油粕や魚粉、米ぬかなど、植物性または動物性の有機物を原料にした肥料を指し、化学肥料とは有機物以外の鉱物などを原料として、化学的に合成して作られた肥料の事を指します。

化学肥料の特徴

農家の私達にとっては化学肥料の方が使い勝手が良く、値段も安価で肥効も計算しやすいのですが、化学肥料は土中の微生物を減らし、その影響で土壌が不健康になりやすく、有害な菌が繁殖しやすくなってしまう恐れがあるということがわかっています。そこで農薬を使用するというサイクルになり、微生物を殺してしまい、悪循環に陥ってしまうことにもつながっています。また、即効的で効き易いため、植物の根が発達しなくても良く育つようになります。これは、その食物の味に関して言えば、味を左右する微量元素の吸収が満足にできないことを示しています。これはどういうことでしょうか。

ひげ根の重要性

微量元素は植物の細いひげ根から吸収されるので、ひげ根の発達が大事になってくるのです。稲でいえば「中干し」後に発達するひげ根がキーポイントになります。有機肥料を与えているとこのひげ根の発達が顕著です。有機肥料は肥効が穏やかで時間がかかるのでそれに合わせてひげ根が発達してくれます。

有機肥料の特徴

有機肥料は土の微生物 の餌になるため、微生物の数が増え、農作物が育ちやすい土壌になります。有機肥料によって土壌微生物の活動が活発化されると、土の団粒構造が形成され、保水性、通気性がよくなり、農作物のより良い成長へとつながります。また、ゆっくり効くので植物もゆっくりと健全に成長します。ですから微量元素を吸収する細いひげ根が育つことになり、出来上がった作物の味が良いのです。

有機栽培の難しさ

しかし、有機栽培はいいことづくめではありません。大変な手間ひまがかかるという問題があります。出来上がった有機肥料を購入すれば高くつきますし、作ればこれまた時間と労力を要します。その上、肥効が穏やかであるため、臨機応変な肥料計画がたてにくく、成分計算もアバウトにならざるを得ません。扱い慣れないと非常に使いにくい肥料であると言えます。

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有機栽培の壁

農産物に対する安全性や、近年の健康志向に対する消費者の関心の高まりで有機栽培がひときわ関心を集めています。しかし、「有機」「減農薬(エコファーマー)」等の表示が氾濫し消費者の商品選択に支障が生じるまでになりました。そこで、JAS法が改正され表示の適正化が図られ、「有機」「オーガニック」の表示には農水省から登録された認定機関の認証が必要となり、有機JASマークが付されたものでなければ「有機」「オーガニック」と表示できなくなりました。農水省によって登録認定された第三者機関が認証を行い、年一回以上の監査により品質管理体制を定期的にチェックする体制がしかれていますので、有機JASマークを表示している農産物には社会的信用があり、安心安全です。農薬はもちろんの事、化学肥料も使用禁止されていますので消費者にとっては安心して購入できる商品となります。登録審査も極めて複雑で細かく厳しいので全国的には未だかなり少ないのが現状です。平成29年4月現在で全国の圃場面積に対する有機圃場の面積の割合はわずか0、23%に過ぎません。

有機栽培への挑戦

有機栽培の有機JASマークを使用できるまでには、最低でも2年間は堆肥等で土造りを行い、その間は原則として化学肥料及び農薬は使用禁止で、その間の栽培管理記録が記載されている書類が整っている事が申請前の条件となっています。稲作りにおいてこの条件をクリアすることは大変な労力を意味します。計算の立ちにくい有機肥料を使い、稲の大敵である水田雑草に除草剤を使えないわけですから、全てを手抜きで取るか除草機を使って除去することになります。絶えず圃場の管理に目を光らせておかなくてはなりません。

オーガニック農産物の需要

今、世界的に注目を集めているのがオーガニック栽培された農産物です。ヨーロッパではその需要も高く商品も高値で取引されています。日本はというとまだまだ遅れています。しかし、需要はかなりあるのですが供給が追い付いていないのが現状です。何故かと言えばひとえに労力と経費でしょう。特に大量生産には向きません。小規模農家が多い日本ですが、これから始まるTPPに負けることなく息の長い農業を考える時、オーガニックがポイントになると思っています。今年から2年掛けて有機JASマークの取得に向けて挑戦していきたいと思います。

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