寒暖差と山から吹き下ろす風が美味しいお米を育てます
スポンサーリンク
秋耕と土つくり草刈りと除草

秋の耕起に向けて

H30年度産の出来具合

キヌムスメの刈り取りも終わり、見渡す限り稲わらが圃場を覆っています。これから畦周りの草刈りと除草剤散布、来年に向けての土作りが始まります。今日農協から「営農だより」が届き、H30年度産米の総評がかかれていました。コシヒカリは乳白米が多く、1等米比率が50%を切ったようです。一方でキヌムスメの方は78%と良かったのですが、例年に比べると悪いようです。今年の猛暑により稲の生育が急激に進んだことで粒張が不足していたり、カメムシ被害の発生も多く見られたようです。

刈り取り後の圃場管理

晩成種のキヌムスメの刈り取りも終わり、ようやく一息ついたところですが、来年に向けての土作りなど作業が待っています。刈り取り後の圃場は辺り一面稲わらでおおわれています。この稲わらを腐植させておかないと、来年の田植えの時にガス湧きで稲の根がやられてしまうので処理は必須作業です。私の場合は、バクヤーゼを使い、中に含まれている様々な有効菌の働きで、稲ワラや稲株を強力分解して腐植化することでガス害を軽減させています。またボカシ肥料としての役割も併せ持っていてこれをトラクターですき込んでおくのです。

畦周りの雑草管理

あっという間に伸びていた雑草もこの時期になると伸びが鈍るので、伸びた雑草を刈り取っていきます。棚田を圃場整備しているので傾斜面の雑草は半端ないほど多いのですが、これらをすべて枯らして圃場にすき込みます。雑草の効力は意外と素晴らしく、稲の耐病性が向上することに加え、枯草菌が土壌に入ると、土中の有機物が分解され、有害微生物が増殖しにくい環境となります。そして植物の生長を促進してくれる有益な肥料となります。枯草菌は減農薬に大いに貢献していることは確かなことで、稲自体に病害虫に対する抵抗力をつける大事な作業です。これをトラクターですき込んで今年の作業が終わります。昔の農家ではこれを当たり前のようにやっていたのですが、現在ではほとんどの農家が野焼きで雑草を処理してしまいます。なぜか?かなりの重労働だからです。実は秋の作業の中で一番きつい作業なのです。

秋の施肥

稲わらの腐植を助け、地力向上を目的として発酵鶏糞をすき込んでいます。「お米は肥料ではなく地力でとれ」とは故 井原豊さんの言葉ですが、全くその通りだと思います。田植え後にやたら施肥計画通りにせっせと窒素分を与えると倒伏が待っているし、お米自体の味にも影響します。化学肥料は楽ですが、反対に稲は喜んでいないのですから。私なりの実感を言いますと、例えるならば、家庭のお風呂と銭湯のお風呂へ入浴した時と同じかなと思います。家庭のお風呂は湯上り後すぐ冷めますが、銭湯の大きなお風呂につかると、大量のお湯から熱量を受けるせいか、いつまでもポカポカと湯冷めしません。圃場の地力と似ているのかなと思います。

コシヒカリは少肥料品種

特にコシヒカリは肥料が少なくても良く育ちますが、逆にキヌムスメは肥料がいります。品種により違いがはっきりあります。
それを肥料で賄うのではなく、地力で賄う方が、お米の出来もいいし、味もいいように思います。いろんな微量元素を併せ持つ堆肥を利用して、これらの栄養素を稲に与える事で、味の向上に努めています。でも、いくらいい堆肥を与えてもそれを稲が吸収してくれないと意味がありません。吸収するのは根から、それも細いひげ根から微量元素を吸収するのですから、田植え後のガス湧きを抑えて稲の根の成長促進を図る事が大事になってくるのです。ではガス湧きを抑えるにはどうしたら良いか、を考えると、前年の秋の作業になってくるのです。

タイトルとURLをコピーしました