寒暖差と山から吹き下ろす風が美味しいお米を育てます
スポンサーリンク
刈り取りと乾燥

お米の検査

出荷検査

私は種籾用のキヌムスメと出荷用のコシヒカリを生産しているのですが、出荷用のコシヒカリは毎年農協の方で品質検査をしてから市場に出回るようになります。結果は見事1等米でした。自分の家に乾燥機から籾すり機、精米した玄米を振り分ける機械をすべて揃えていますので自在にコントロールできます。特に気をつけているのが籾の乾燥工程で、はざかけ米と同等になるように、ゆっくりと低温から徐々に乾燥させています。結果的に玄米の水分を14,5~15,5%に持って行きます。検査では個の水分量、整粒具合、形質等、着色粒等の歩合を見て等級が判定されます。加えて玄米の選別機のふるい目の大きさ(1,85mmと1,9mm)もチェックです。1,9mmの大きい方のふるい目を使わないと1等米にはならない決まりになっています。

稲の刈り取り時期の判断

お米は半年以上かけて作るのですが、施肥の種類や時期、水や畦周りの雑草の管理具合がお米の味に大きくウェイトを占めています。ベストのタイミングに施肥をするとどんどん成長してくれますし、害虫の住処をなくす草刈りや、稲の成長に合った水管理など、細かなことですが、結果に大きく差が出てくるのは確かな事実です。そして穂が垂れ下がり、いよいよ刈り取りの段階に入るとまず、刈り取るタイミングを計っていきます。青籾率が目測で15%を切る頃、出穂してから40~50日後になる時が一つの目安となりますが、毎年気象条件が一定していないので、それに加えて出穂してからの積算気温も計測して1000~1200℃辺りで判断することにしています。また枝梗(籾の首の部分)の青いうちの方が味が良いので、刈り取り時期になったら田んぼを歩いて確認しながら、天気予報を確認して最終判断しますし、私の場合は会社の公休日も計算に入れます。定期的に圃場を歩くのは必須作業で、上記の事柄をチェックしながら刈り取りの秋を迎えます。

お米の味を左右する籾の乾燥

刈り取る前には米の水分計で測って25%以下になったら刈り取れます。天気が良ければもう1~2%下がってから刈り取るのですが、今年は気象条件が悪く、好天が長続きしませんでした。刈り取った籾を乾燥機にかけるのですが、出荷する玄米の水分範囲は14.5~15.5%です。ここまで乾燥させないと米の長期保管ができないのです。しかし、14。5%だと乾燥し過ぎでお米の味が落ちます。15.5%あたりが味がいいのですが検査に引っ掛かるといけないので15%に設定しています。多くの農家では刈り取った籾をライスセンターや、カントリーエレベーターに持ち込んで乾燥調製をしてもらうのですが、大量なのでどうしても急いで作業することになり、乾燥時間も割と短めです。ここで、消費者の皆さんに人気のある「はざかけ米」について考察してみたいと思います。

はざかけ乾燥したお米

今は乾燥機があり、雨天に関係なく籾の乾燥ができるようになりましたが、乾燥機もない頃は、木や孟宗竹を組み合わせて刈り取った稲を吊るし掛けて天日乾燥をしていました。日中は太陽熱でじっくり乾燥させ、夜の冷え込みで日中の籾を冷やすことを毎日繰り返しながらゆっくり乾燥させていました。ゆっくり時間をかけて寒暖の差を利用しながら乾燥させるので、お米は胴割れすることが少ない締まったお米になります。これは間違いない所です。ところが近年の異常気象で「天高く馬肥ゆる秋」とはいかないようになり、乾燥したり、湿ったりを繰り返すようになってしまってお米の味が抜ける要因にもなっています。ここにも近年の異常気象が影響を与えています。逆に天気が続きすぎると乾燥が進みすぎ、丁度良い水分15%を超えて過乾燥することがあります。

機械乾燥を仕方次第でお米の味は上がる

自前で乾燥機を持っていれば自在に乾燥具合を調整できます。より自然に近い昔ながらのはざかけ自然乾燥に近い方法で、ゆっくり時間をかけて乾燥してやった方が確実に一定品質の玄米に仕上がります。同じように考えていらっしゃる農家の方も多く、熱心な方ほど上手です。私は刈り取ったら乾燥器に入れて、その日(刈り取り終えて乾燥機に入れるのが夕方近く)に通風のみで夜は電源を落とします。そして翌日9時あたりから低温でゆっくり乾燥をし始め3時には通風に切り替え、籾の荒熱を取ってやり、夕方に電源を落として翌日に15%に持って行くようにしています。

お米を食べて下さい

なんでもそうですが、とれたて、出来立ては美味しいです。ぜひ新米を食べてお米の良さを実感して頂きたい。農家から切なる願いです。最後にフォローしておきますが、お米の中でもコシヒカリは味落ちしにくい品種で、先ほどの「はざかけ米」で過乾燥してもそん色ないほど美味しいですのでご安心を。

タイトルとURLをコピーしました