新規就農者の増加
少し前のデータで恐縮ですが、2016年度の新規就農者の数が6万人を超え、特筆すべきは49歳以下の方が2万人を超えているという現状が報告されています。新規就農者が増えるということは、農業という職業に魅力を感じている人が増えてきている裏返しでもあります。環境保全の機運も高まり、国民が食の安全を意識し始め、またTPPにより農産物の海外輸出が本格的に動き始めました。やりようによっては農業は利益が出ます。国もそれを後押しする政策を打ち出してきているので利益追求する営農法人はもとより、食の安全を自分の手で掴もうとする個人にとっても追い風が吹いているわけです。
国の施策
Uターン・Iターンして農業を志す方には地方もあの手この手で担い手を育成しようと躍起になっています。かなりの好条件で就農する若い方が増えてきているのは事実です。国も農家の負担軽減などの観点から農業共済事業を見直すとともに、価格低下などを含めた収入減少を補てんする「農業経営収入保険事業」を、2017年6月16日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立しました。2018年4月から施行される農業保険法に基づき、収入保険制度と改正農業共済制度が実地されます。
農業保険法
農業保険法とは、農業経営の安定を図るために、農業者の農業収入の減少を緩和するための農業経営収入保険の事業で、青色申告を行う農業者を対象として、保険期間中の農業収入金額が、基準収入に農業者が選択する割合を乗じた額を下回った場合に、下回った額の一定割合を支払う保険方式(掛け捨て)に、積立方式を組み合わせることができる制度です。弱い立場の農家を下支えして自給率向上を促す施策です。
兼業農家の休日
私も兼業農家の一人ですが、色々あって今は8反程田んぼがあり、その内1反が飯米用で残りの7反は出荷用です。同じ出荷用でも、県下の農家のための種籾をつくっているので、県に多少高く取引して頂いています。農作業は休日に行うのでその分まとめての仕事となり、かなりきついのですが、どれだけ手を掛けたかで収穫期にはっきりと違いが出てくるので、こまめな管理が大事になってきます。春先から秋にかけての休日は、そのほとんどが田んぼ仕事になりますので、外の人から見れば「わー、たいへん!」となるかもしれませんね。
農業は自然との駆け引き
毎年春先には「今年は頑張るぞ!」と思うのです。今年こそ、去年悩まされたことを繰り返さないようにと努力するのです(今年結果を出そうと思えば昨年の秋から準備する必要がある)。今度こそ思い通りに管理しようと思うのですが、何分自然が相手の仕事のうえ、近年の異常気象を予想して対応するにはかなり無理があります。毎年同じ気象条件とは限りませんので毎年が勝負なのです。悩みが尽きることはありませんが、ピタッと予想通りに行くこともありその時は何ともいえず快感が体を走り抜けるのです。きつい農作業ですが結構楽しみながらやっているのですね。
農業の食育
それに体力がつき、足腰が丈夫になり、内臓の調子もよくなるのですから健康にはうってつけですよ。長年関わってきたうちの親父は今年で90歳になりますが、健康そのもので今でも朝から畑に出かけています。余分な金も使わなくなりますしね。休日に農作業をすることで、子供たちもたまに手伝ってくれたりします。収穫してその年の新米ができると、「お前が作った米だぞ!どうだ、うまいだろう!」と親子の会話も弾むようになります。食物アレルギーで悩む子供達が増えていますが、米作りを通して食の大切さを教えています。たとえ儲けが出なくても、安心・安全なお米を作って食べることは食育の点からも大いに意義があると思います。
兼業農家のすすめ
お米だけではなく野菜も自家製で栽培すれば食事が楽しくなります。1家族が食べる米の量は知れていますし、田んぼ2反位なら鼻歌気分で農作業できます。8俵(480k)/1反取りで、32袋(30kg入りの袋)。飯米で年間10袋だとすると22袋が出荷用で13万位、それに直接支払制度から2反で4万。そこから除草剤代や消毒薬代、刈り取り代金、田植え代金(何も機械を持たないとして全て代行でやってもらうとして)を差し引くとそんなに手元には残らないのですが、いい小遣いにはなりますよ。それプラス頑健な体を手に入れられますし、ものは考えようです。一生できる上に退職後の仕事にはうってつけなのですから、年金貰いながらいい汗かく日々はとっても健全で地に足をつけた生き方ですし、子供達や孫のお米を作ってやるのはいい励みになります。農業は初体験という方でも最初のとりかかりは大変ですが、覚えてしまえば後は自分流に改良して楽しみながらやればいいわけです。今、地方の担い手育成は窓口も大きく、歓迎されていますのでチャンスなのです。